親鸞フォーラムは、私たちの時代社会の課題をとおして、
さまざまなジャンルでご活躍の有識者と仏教者との対話を手がかりに、
「いま、人間を見つめる」シンポジウムです。
孤独は山になく、街にある。
一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の「間」にあるのである。
三木清『人生論ノート』
街の大通りは今日も賑やかに人であふれ、夜になっても煌々と明かりを灯し続けます。しかし、そんなこの国で、現在、孤独を感じながら暮らしている人の割合は、実に40%を越えると言われています。(令和3年実施「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」)
そして、孤独の問題とは、そのひと個人の責任、つまり「自己責任」であると考える人の割合は44%、これは英米と比べても圧倒的な数字です。この二つの数字を私たちはどう考えていけばいいのでしょうか。
私たちの中に、あまりに自然に浸透してしまった「自己責任」という言葉。この言葉が違和感なく多用されてしまう社会とは、いったいどのようなものでしょう。自己責任というナイフのような言葉でいったん関係を断ち切ってしまえば、私たちは誰かの苦悩や悲しみに寄り添えずとも、そこに後ろめたさを感じることはありません。また逆に、他者から関係を断ち切られて孤立することを恐れ、そこに安心して弱さを見せることができない、不安や生きづらさを抱えながら暮らしています。助けを求めにくい、また助けなくとも心が傷まない、このいびつな社会構造の背後にあるのが現代の自己責任論ではないでしょうか。
今回の親鸞フォーラムでは、画期的な孤独相談システムを立ち上げ、孤独を社会問題として認知させることに尽力されている、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんと、『手の倫理』(2020年、講談社選書メチエ)において、独自の身体論を通して現代のコミュニケーションのあり方に一石を投じられた、美学者の伊藤亜紗さんにお越しいただきます。本当に生きやすい社会を作っていくため、現代の孤独と自己責任の論理を、私たちはどのように超えていくことができるのか。「勝ち組」「負け組」ばかりが強調される競争原理の社会において、安心して自分が自分でいられるような居場所というものを、どのように持っていくことができるのか。ご一緒に考えていきたいと思います。
第16回 親鸞フォーラム〈いのち〉の帰る場所 〜孤独と自己責任の論理を超えて〜
会場 | 真宗会館公式YouTubeチャンネルにて オンライン配信 |
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テーマ | 〈いのち〉の帰る場所 〜孤独と自己責任の論理を超えて〜 |
参加費 | 無料(事前申し込み制) |
定員 | 上限なし |
開催日時 | 2022年7月30日(土) |
お申し込み方法 | 下記の「申し込みはこちら」をクリックしてリンク先のページよりお申込みください。 ①申込フォームよりお申込みください。 ※メールアドレスが必須となります。 ②申込完了後、自動返信メールにて視聴に関するご案内をお送りします。 ※メールが届かない場合は、真宗会館「親鸞フォーラム係」までご連絡ください。 ※ご応募でいただいた個人情報は、東本願寺の講演会の案内に限り使用させていただきます。 |
主催 | 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館 |
後援 |
パネリスト |
伊藤亜紗氏(美学者・東京工業大学教授) 1979年生まれ。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長。専門は美学、現代アート。生物学者を目指していたが、大学3年次より理系から文系に転向。言語化できない人間の感覚的な世界を、言葉を使って分析する「美学」を専門に研究する。主な著書に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社選書メチエ)など。 |
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パネリスト |
大空幸星氏(NPO法人「あなたのいばしょ」理事長) 1998年生まれ。NPO法人あなたのいばしょ理事長。 2020年3月、24時間365日、年齢や性別を問わず、誰でも無料・匿名で利用できる無料チャット相談窓口「あなたのいばしょ」を設立。同窓口は、2年弱で約36万件の相談を受ける。国会にも働きかけ、孤独担当大臣の創設や、孤独政策の方針作成にも尽力。 現役の大学生であり、慶應義塾大学総合政策学部在学中。 |
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コーディネーター |
花園一実氏(真宗大谷派僧侶) 1982年生まれ。真宗大谷派圓照寺副住職。 京都の東本願寺を本山とする真宗大谷派のお寺の長男として生まれる。日本大学芸術学部卒業、大谷大学大学院博士後期課程満期退学。真宗大谷派・親鸞仏教センター研究員を経て、現在、圓照寺副住職のかたわら、真宗会館発行『Sein』の編集や、『月刊同朋』(東本願寺出版)連載の仏典マンガの原案も手掛ける。 |