2016年06月15日
Category 親鸞フォーラム
震災×経済×仏教
―私たちは今、何を問われているのか―
2013年6月9日(日)
パネリスト
高橋 源一郎 氏(小説家)
平川 克美 氏(事業家・文筆家)
鷲田 清一 氏(哲学者・大谷大学教授)
コーディネーター
木越 康 氏(大谷大学教授)
木越 東日本大震災から2年と3カ月が過ぎようとしています。物質的な復興は進んできていると言われますが、まだまだ被災者の精神的な復興は果たされていないのが現状です。また、原発問題につきましても、さまざまなかたちで被害が広がり、深刻さの度合いが増しているように思われるわけです。そのような状況があるにも関わらず、昨今の日本の眼は経済発展ばかりに向いてしまっていると言えます。2012年に開催された第6回親鸞フォーラムにおいて、姜尚中さんがウィリアム・ジェームスの「twice born(二度生まれ)」という言葉を紹介し、日本は震災を契機に生まれ変わらなくてはならないと強く訴えかけられました。その頃国内は脱原発の声が一気にしぼんで、代わりに原発技術の輸出や国内原発の再稼働に向けた動きが活発化している時期でもありました。それに対して高村薫さんが一言、「結局、人間は懲りていないんです」と、厳しくおっしゃっておられました。
本日はそれからさらに1年ほどが経過しております。震災後2年を経過した今、あらためて「経済と仏教」というテーマで震災を取り上げることになりました。
平川 私は震災後、年に1回か2回、現地の仮設の集会所で落語会をやっているのですが、そこで皆さんといろいろお話をしている中で、もう精神的にはかなり限界に近いのだと、こういう声をお聞きします。何が一番つらいですかと聞きますと、やはり忘れられるのが一番つらいと、こうおっしゃ…