格差社会×仏教-人間の闇と希望-(2) | 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2019年05月24日

Category 親鸞フォーラム

格差社会×仏教-人間の闇と希望-(2)

パネリスト 浜矩子 湯浅誠 木越康 コーディネーター 鶴見晃

2016 年6 月19 日(土)、JPタワーホール&カンファレンススクエア(東京都千代田区)を会場に「親鸞フォーラム―親鸞仏教が開く世界」が開催されました。
本抄録は「格差社会I×仏教-人間の闇と希望―」をテーマに行われたシンポジウムの内容です。

お互いの世界が交わらない“格差”の固定化

湯浅  私の場合は、子どもの貧困ということを切り口にしながら考えていきたいと思います。先ほど6人に1人という話がありましたが、人数にすると350万人になります。0歳から17歳までの子どもです。もしかしたら、皆さんはあまり実感がないかもしれません。しかし社会全体としては、このような数字になるのです。

 今日は、細々とデータの話はしませんが、一つだけ言いますと、大きな問題として数字は増え続けているということです。日本全体の貧困率というのも出ていますが、直近でいうと、日本全体の子どもの貧困率が6倍に増えました。さらに3年前でいうと5倍に増えました。つまり、この6年間で、全体の平均の貧困率の上昇の30倍、子どもの貧困率が上がっています。

 貧困ということは、単にお金がないというだけではありません。お金がないことで友達関係も作りにくくなります。ランチも一緒に食べられない。一緒に遊びに行くこともできず、だんだん交友関係から離れていく。親も仕事が忙しくてかまってくれない。そういう中で、会話もできない。勉強でつまずいても、ちょっと教えてくれる人が身近にいないということで、勉強も遅れていきます。関係も切れていくという中で、自分自身を大事にできなくなっていく。だんだんと「自分のことが嫌いだ」と思うようになっていくのです。こうしたことが、私にとっては闇の側面です。

 格差社会を考えていて思うのは、こうした実態を、実感としてわかりにくくさせているのが、格差社会の特徴なのではないかということです。なぜかというと、格差というのは固定化…

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