AI×ゴリラ×仏教―人間とは何か(4) | 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2019年05月20日

Category 親鸞フォーラム

AI×ゴリラ×仏教―人間とは何か(4)

パネリスト山極 壽一 氏、井上 智洋 氏、木越 康 氏、 コーディネーター藤原 正寿 氏

2018 年4 月21 日(土)、丸ビルホール&コンファレンススクエア(東京都千代田区)を会場に「親鸞フォーラム―親鸞仏教が開く世界」が開催されました。
本抄録は「AI× ゴリラ× 仏教-人間とは何か―」をテーマに行われたシンポジウムの内容です。

人間は死者と共に生きている

井上 先ほど私が、脱労働社会において仏教が重要になってくると申し上げたのは、リップサービスで言っているわけではなく、本当に思っていることなのです。その理由の一つに、これからAI時代になって、もし人間が働かなくて済むという時代がやってきたときに、人間は必然的に「死」というものを今よりも意識しなければならない。仕事で忙しいという事は、そういうこともあまり考えずに済んでいた。AIが普及して便利になっても、人間が死から逃れられるわけではないので、そこで宗教的な救いというものが、かえって強く求められていくのではないでしょうか。

死という問題を意識し、そこをどう乗り越えるかという問題はいつの時代も必ず残るのです。

 

木越 人間は必ず死んでいく。しかも、これは自分自身で決して体験できないわけです。ですから仏陀(お釈迦様)は、他人が老い、病み、死んでいく姿を見た、その恐れと悲しみで出家を決意されます。自分もやがて必ず死を迎えていくにもかかわらず、他者のそれらを見ておびえる自分がいる。そこに死というものを乗り越えることができる主体を求めていくことになるわけです。

 死という問題を意識し、そこをどう乗り越えるかという問題はいつの時代も必ず残るのです。親鸞が尊敬する曇鸞(※)という中国の僧がいますが、やはり死という問題を乗り越えようとするとき、道教の長生の仙薬の書物を手に入れて喜ぶわけです。ところが仏教の師に出会ったときに、そのようなものを手に入れたとしても、…

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