真宗会館コラム|咲き誇る菜の花の季節 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2019年04月19日

Category サンガコラム

咲き誇る菜の花の季節

カメラを持って街に出よう

 菜の花の「菜」の文字を自分の名前に入れてくれた両親に、いつも感謝を抱いている。昔も今も私にとって、一番愛おしい花だからだ。

 まだ幼かった頃、初めて訪れた菜の花畑の花たちは、私よりも背が高く、その真ん中で身をかがめ、父や母と一緒にかくれんぼができた。あの時の私にとって花いっぱいの公園は、わくわくと好奇心を掻き立てられる迷路だった。やがて花たちの背丈を追い越すと、そこには全く違う風景が広がっていた。一面に咲き誇るその姿は、まるで華やかな黄色の絨毯が大地を覆ったかのようだった。こうして時を追うごとに、立ち現れる光景は変わり、花と共にある記憶は豊かになっていく。

 地上の太陽のように人々の顔を輝かせるその姿に、自分も早く追いつかなければと、今年の春もきっとまぶしく眺めることだろう。

安田 菜津紀(やすだ・なつき)

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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