2016年06月15日
Category 親鸞フォーラム
基調講演:五木寛之
テーマ:人間親鸞のすがた
パネルディスカッション
テーマ:悩む力・生きる力
パネリスト
姜 尚中氏(東京大学大学院教授)
田口 ランディ氏(作家)
本多 弘之氏(親鸞仏教センター所長)
コーディネーター
菅原 伸郎氏(東京医療保健大学教授)
菅原 今、「悩むことはいけないことだ」と学校などで教えられています。しかし、悩むことはマイナスの面ばかりではなく、人間の成長にとても大切なことではないかと思います。親鸞聖人も若い時には深く悩まれ、苦しまれました。そこでこのたびこの「親鶯フォーラム」のシンポジウムのテーマを「悩む力・生きる力」としました。
はじめに、パネリストの方々に「悩む」ということについてお話いただきたいと思います。
姜 私は、子どものころ、ある時から自分の出生の問題やまわりの関係、いろいろな問題で非常に悩み、そのモヤモヤを自分の内側にずっともっていました。外から見ると、非常に外交的なのですが、もう一面、自分のなかにこころの殻みたいなものがありました。先ほど講演のなかで五木さんは「情」ということについて話されました。この情というものは、おそらく人間の選択ではなかなか左右できないもの、つまり人間が先天的に与えられたものです。例えば五木さんであれば、なぜ戦時中平壌にいたのか。それは、やはりご両親が朝鮮半島に行ったからですね。では、なぜ行ったのか。そのように考えていくと、人間には、自由に選択できないものがあります。ですから、情や情けというものが、こころとして表に出てくるわけです。21世紀になり、我々の社会は、自由を謳歌し、それが社会のすべての幸福につながると考えてきました。しかし一方で、潜在的にどこかで、実はそうではないことに気づき、疑問に思いながらも口に…