2019年10月21日

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生かされている存在

カメラを持って街に出よう

 

2016年秋の収穫を目指していたイチゴたち

2016年10月、熊本・阿蘇山が噴火したときのこと。地元農家である、岡田留里子さんを訪ねた。火山灰やへどろがビニールハウスを覆い、真っ黒に焦げたようなイチゴの葉の間から、それでも小さな花たちが懸命に咲こうと顔をのぞかせていた。「生きたい、生きたい」と太陽に手を伸べるように。熊本地震後の再起をかけていた収穫だっただけに、留里子さんも肩を落としていた。

あれから3年。その後も噴火のニュースが流れる度に、留里子さんとは連絡をとりあう。「私たちは大丈夫。それでもここの自然が大好きなの」と、その度に留里子さんは繰り返す。そして採れたてのイチゴを箱いっぱいに送ってくれる。その甘酸っぱい味と共に、あの小さな花の姿を思い返す。自然の厳しさと、その恵みに生かされている私たちの存在を思いながら。

安田 菜津紀
1987年神奈川県生まれ。Dialogue forPeople(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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