命をルールの犠牲にしてはいけない|サンガコラム「レンズの奥の瞳」 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2022年02月10日

Category サンガコラム

命をルールの犠牲にしてはいけない

レンズの奥の瞳

街頭でその死の真相究明を訴えるご遺族。

 

 2021年3月6日、名古屋出入国管理局の収容施設で、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった。死因は、「最終報告書」でも明らかとなっていないが、亡くなる前の尿検査の値は、彼女の体が〝飢餓状態〞であることを示していた。ウィシュマさんは日本で英語教師になることを夢見て来日、その後学校に通えなくなり在留資格を喪失した。徐々に体調を崩していくウィシュマさんの容体を、入管職員は「詐病」として扱った。

 事件の真相解明を求める遺族が来日し、こう語った。「在留資格がないというだけで、命が奪われるようなことがあっていいのでしょうか?」。ウィシュマさんは熱心な仏教徒だったという。彼女の通っていた寺院の僧侶は、彼女の死を振り返りこう言った。「ルールを遵守するがあまりに、命を奪ってしまったのではないでしょうか。しかし何よりも尊いのは命なのです。ルールは絶対のものではなく、倫理に合わせて変えていくことも必要なのです」。

 

 

佐藤 慧( フォトジャーナリスト/ライター)

1982年岩手県生まれ。認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリスト、ライター。同団体の代表。世界を変えるのはシステムではなく人間の精神的な成長であると信じ、紛争、貧困の問題、人間の思想とその可能性を追う。言葉と写真を駆使し、国籍−人種−宗教を超えて、人と人との心の繋がりを探求する。アフリカや中東、東ティモールなどを取材。東日本大震災以降、継続的に被災地の取材も行っている。著書に『しあわせの牛乳』(ポプラ社)、同書で第二回児童文芸ノンフィクション文学賞など受賞。東京都在住。

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