2021年08月05日

Category サンガコラム

学ぶことを止めてはいけない

レンズの奥の瞳

仲間たちと共に路上で生き抜くスカイボーイ(右から2人目)。

 「YOLOって知ってるかい?」。

 ザンビア共和国の首都の高架下で、居場所を失ったストリートチルドレンのひとり、スカイボーイと名乗る青年がそう尋ねてきた。「You Only Live Once(人生は一度きり)という意味だよ」。彼は、母が病死して以来、父との諍いが絶えず家を飛び出してきたのだという。数十人のたむろする高架下で、彼は年長者の部類に入る。毎日路上でタバコを細々と売り、そのわずかな売り上げで仲間たちの食料を買う。自作の詩によるラップを得意とする彼は、偉人・賢人の言葉を糧に、これまで路上で生き抜いてきた。

 「僕たちの人生は一度きりなんだ。何かを得たり、挑戦したりする機会があれば、それを逃してはいけない。どんなときでも学ぶことを止めてはいけない。ネルソン・マンデラも言っていたように、教育こそが、世界を変える唯一の鍵なんだ。教育が未来を切り拓くんだ」。

 仮に輪廻転生しても、今の「私」として生きるのはこの一度きり。スカイボーイの言葉が、空に響く。

 

 

 

 

佐藤 慧( フォトジャーナリスト/ライター)
1982年岩手県生まれ。NPO法人Dialogue for P e ople(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト、ライター。
同団体の代表。世界を変えるのはシステムではなく人間の精神的な成長であると信じ、紛争、貧困の問題、人間の思想とその可能性を追う。言葉と写真を駆使し、国籍-人種-宗教を超えて、人と人との心の繋がりを探求する。アフリカや中東、東ティモールなどを取材。東日本大震災以降、継続的に被災地の取材も行っている。著書に『しあわせの牛乳』(ポプラ社)、同書で第二回児童文芸ノンフィクション文学賞など受賞。東京都在住。

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