2021年10月06日
Category サンガコラム
夕方、お寺の門を閉める時、妙な気分になることがある。私はなんでここにいるんだっけと。そのたびに、あ、そうか、私はお寺に嫁いだのだと思い返す。住職である夫とともに、お寺を守っていくことは大変ありがたいご縁だ。ただ、この妙な気分は、病院や役所で「堀江さーん」と呼ばれる時と同じで、堀江さん? ああ、私は堀江さんという人と結婚したんだったと。娘にママと呼ばれ、自分で自分をママと言う時も、そうか、私はママになったんだとなんとも不思議な気持ちになる。私の未来予想図にこんなシナリオはなかったはずだが、僧侶と結婚し、子どもを授かり、毎朝、阿弥陀様に手を合わせている。結婚とか興味ないし、なんて言っていたハタチの頃の自分が見たら、腰を抜かすだろう。
そのうえ現在の私は、まさか韓流スターにハマってしまった。かつて、私の母は「冬のソナタ」のヨン様に夢中になり、韓国ツアーに出かけて行った。最近では、ママ友がBTSの魅力を声高に語っていた。どちらの時も、私はしらーっとした目で彼女たちを見ていた。ところが、パク・ソジュンにハマった。ファンクラブに入り、ファンミーティングに参加し、バラードを熱唱するソジュンの姿に涙が止まらない。まさか自分が!
こうなったら、一寸先の未来は分からない。いつか私の娘が韓流スターと結婚して、私は娘と婿のため日本と韓国を忙しく行き来することだってないとは言い切れない。そんな未来予想図を描いていると、これからの人生ワクワクしてくる。
堀江 彩木(東京都渋谷区・諦聴寺)
諦聴寺坊守。
ねじめ彩木のペンネー…