2019年01月29日

Category インタビュー

サワコ的 介護の心得

エッセイスト・作家
阿川 佐和子さん

 

『聞く力』が脅威のベストセラーになった。『サワコの朝』はじめ『ビートたけしのTVタックル』など、軽妙な佐和子さんの話術が光る。昨年はテレビドラマでも熱演した。徳川夢声、森繁久彌、小沢昭一に続く、明治村の4代目の村長でもある。

3年前、父である作家の阿川弘之さんが他界した。四十九日が過ぎたころ、出版社から父について書かないかと依頼された。「父がどれほど無茶苦茶な人であったか、周囲がどれほどひどい目にあわされたか」、佐和子さんは『強父論』を書いた。書き終えて、作家の娘としての宿命をはたしたような気がした。「あなたのお父さんは私の理想です」とビートたけし氏が絶賛した。父のあとは母の介護である。

親の介護は子どもがしなければいけないとか、しないと人に面目が立たないとか、日本人はずいぶん駄目になりつつあっても、まだ倫理感みたいなものは残っていますね。だから、よし、頑張って仕事を辞めて介護に専念しようと思うと、親子ともどもこわれてしまって、殺しちゃったり、いろんなところでぶつかったり、やけを起こしたり、頭にきたりすることばかりの現場が介護ですね。全部そろっています。兄弟喧嘩もするし、お金に絡んだことも起こるし、親子での今まで鬱屈していたものが全部爆発することもある。

だから、完璧にやろうと思ったら介護する側がつぶれてしまう。まわりを見ていても、自分がやってもそう思いました。もの忘れが始まった母やわがままを言う父に、どうすれば優しい気持ちになれるのか。そうだ、ずるをしようと思いついたんです。そして後ろめたさを持とうと思ったんです。父から預かっていたお金で、こっそり買い物をして、ざまあみろ、使ってや…

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