2016年06月15日
Category 法話
講師:齊藤研 氏 (新潟県・正楽寺)
日曜礼拝
2015年11月15日
「一人の成就」という講題でお話しさせていただきます。「一人」の文字は普通には「ひとり」と読みますので「いちにん」と読むのは耳慣れない読み方だと思います。それを「いちにん」と読ませたのは何故か。そして、その「一人」が「成就」するとはどういうことか。この点についてお話させていただきたいと思います。
仏教では地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天という六種の迷いの生存状態が示されています。これを「六道」と言います。その迷いのあり方から超え、離れるということを仏教は課題にしてきました。
六道にはそれぞれに固有の特徴がありますが、先ず「地獄」の特徴は何でしょうか。現在も言葉では地獄絵図とか、借金地獄などと使われますが、その地獄は実は地下八階建てです。例えば地下一階は「等活地獄」です。そこでは、鉄のツメをつけた人々がブラブラと徘徊しています。それで、他の人に会うといきなり取っ組み合いの喧嘩を始めます。持っている鉄のツメで相手を掴み裂きますので、お互いにボロボロになってしまう。そして最後には細切れになって死んでしまいます。すると地獄の獄卒が杖を地面にゴンゴンと打ちつける。そうすると細切れになって死んだ者が、たちまちに生き返ってしまう。せっかく痛みや苦しみから逃れられたのに、無理やり生き返えさせられて、また鉄のツメをもって歩かせられる。これが「等活地獄」です。これは苦しみが際限なく続くことを意味していると思います。
地下二階は「黒縄地獄」です。「黒縄」とは大工道具の中で直線を引くために使われる墨壺…