故郷の味を伝えたい|サンガコラム「カメラを持って街に出よう」 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2020年07月30日

Category サンガコラム

故郷の味を伝えたい

カメラを持って街に出よう

「バインセオ」は、パリパリの生地が食欲をそそり、ほんのりただようココナッツの風味がまろやかだ。

 今月の写真をあえて食べ物にしたのには理由がある。このベトナムお好み焼きを作ってくれたのは、南雅和さん。14歳でたった一人、木造船に乗り、ベトナムから難民として逃れ、日本社会で40年近く生き抜いてきた。「本場のベトナムの味を伝えたい」と、2011年、東京・霞ヶ関駅前にベトナム料理店「イエローバンブー」を開いた。ところが新型コロナウイルスの影響を受け、全身全霊をかけて築いたお店が今、危機に直面している。南さんがベトナムを脱し海上で途方に暮れていたとき、救ってくれたのは沖縄水産高校の実習船だったという。昨年、当時の船長さんと沖縄で再会し、今年1月にはイエローバンブーに招くことが叶った。今後もここが交流の場であるようにという応援と、一刻も早い公的支援が届くよう願いを込め、この写真を選んだ。

 

 

安田 菜津紀 (フォトジャーナリスト)
1987年神奈川県生まれ。Dialogue forPeople(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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