2021年02月19日

Category サンガコラム

みんな一緒に生きている

深慮遠望VOL.2

 

 あと1年で後期高齢者の仲間入り、医療機関の窓口負担が1割になると皮算用していたが、そうは行かないようだ。「2割負担案の審議」という新聞記事をみた。団塊世代が75歳を迎えると医療保険の財源が苦しくなるらしい。  

 「団塊世代」は1947年、48年、49年の生まれを指す。出生数は合せて806万人。私はそれより前の生まれだが、実は44年、45年、46年の3年間の生まれは戦争末期と戦後混乱期のため国政の基本となる人口動態統計もない。心もとない出発だったが、学校生活から社会人まで、後から来る人口の大きな塊と無縁のはずはなかった。

 小学校の時、都会へ転校した同級生からの手紙に「午前は低学年、午後は高学年の二部授業です」とあって驚いた。校舎が足りないのだ。受験競争は激しいし、会社では「ポストがない」と言われたりもした。でもこの塊があったから国民年金制度はできただろうし、高度経済成長も実現できたに違いない。全共闘運動と重ねて語られたりもするが、集団就職世代でもある。かつて調べたら、団塊世代の大学卒は20%弱で、高校卒が50%、中学卒が30%強だった。

 幼少時からバブル崩壊の中年期まで右肩上がりの経済だったので、知らぬ間に「時間がたてば事態はよくなる」という心性に染まっていた。そのことに気づいたのは21世紀に入ってからだが、時代は65歳以上が21%を超す超高齢社会になろうとしていた。まあ呑気というか、お粗末というしかない。

 支えたり、支えられたり。子供、勤労者、高齢者と歩んできてしみじみと思う。「みんな一緒に暮らしている」。仏教でいう「縁起の道理」とはこういうことか、少し分かったような気がした。

 

 

 

井上憲司(元社会部記者)

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