2016年06月15日
Category 親鸞フォーラム
2010年2月14日(日)
テーマ:人間・存在の大地を求めて―現代の仏教の対話
パネリスト
宮崎 哲弥 氏(評論家)
香山 リカ氏(精神科医・立教大学教授)
門脇 健氏(大谷大学教授)
コーディネーター
武田 定光氏(真宗大谷派因速寺住職)
武田 真宗大谷派は宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌を、単に法要として勤めるだけではなく、御遠忌を縁として人間存在を深く考える場を首都圏において公開してきました。その一環としてこれまでに二回、「親鸞フォーラム」を開催してきました。
現代はさまざまな問題を抱えています。「リーマン・ショック」にはじまる不況、また、十二年連続で三万人の自死者を出している時代です。さらに、うつ病を患われている方は六五〇万人とも言われています。このような苦悩の時代の中で、私たちはどう生きていったらいいのでしょうか。また、人間存在を支える大地はあるのでしょうか。今回は、マスメディアが報じるような表面の問題だけではなく、深層にある問題を皆さんと一緒に考えたいと思います。
翻ってみますと、親鸞の生きた中世・鎌倉期も、現代と同質の苦悩を抱えていた時代でした。戦乱や飢饉、疫病がある時代でした。「老病死」という問題は、言ってみれば、一万年前も、これから一万年後も変わらない人類普遍の問題です。そこにはなぜ生きるのかという問いが横たわっているのです。
本日は現代の知恵を代表する先生方をお迎えしまして、皆さんと一緒に問題の根を考えていきたいと思います。そして、願わくは、ここにお集まりいただいた一人ひとりの方に、明日も生きていくことができる勇気を感じ取っていただければ幸いと思います。人間のすべてを論理的に説明できると計画を立て、前進や向上、成長といった光が当たる面ばかりに目を向けてしまうがために、かえって人間が苦しん…