2020年02月18日
Category サンガコラム
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40年ぶりに卒業生と再会した。彼女も歳相応の女性になっていた。が、とにかく若々しい。目が、顔が生き生きしている。富山型デイサービスをしているという。後日、彼女が夫の住職とともに開いている富山県砺波市の善福寺を訪ねた。
富山型デイサービスというのは、地域の大きな家をそのままデイサービスの場とする富山県のこころみで、部屋が多くある寺はもってこいの環境だ。
善福寺では、住職たちの住まいである庫裡の一階部分に手を入れて、デイサービスを提供できるようにしてある。かつては座敷や客間だった部屋にベッドやテーブル、ソファーなどを置いて、利用者が自由にくつろげるようにしてある。本堂も法事などがある時以外はミーティングルームになり、自然と阿弥陀さまのもとでの生活になっている。
善福寺では、デイサービスとともに、学校になかなかなじめない子たちも来ている。訪れたのが夕方だったので、利用者が帰るころだった。お迎えの電話がひっきりなしに鳴り、彼女やスタッフの人たちはてんてこ舞いだった。すると、小学4年生くらいの男の子がせっせと後かたづけをしだした。
「あの子はいつもああしてかたづけをしてくれるんですよ」と、彼女は嬉しそうに話してくれた。みんなが自分のできることをサービスする。老人は子たちに笑顔を、子どもは湯呑みを台所に運ぶ。その場所が一つの大きな家のように思えた。寺が如来(えらばず、きらわず、見すてず)の家であることを実感したひとときだった。
狐野 秀存(大谷専修学院長)