2019年02月14日
Category サンガコラム
小窓のあかり
「あったかいお家が待っている」「シチューで温まろう」とテレビから聞こえてくると、いよいよ寒い冬がやって来るわと思う。コタツに入りコーヒーをフウフウしながら、降りしきる雪景色を窓の向こうに眺めていると、暖かい居場所があるというありがたみを感じる。
ふと、以前の子どもとの会話を思い出した。「この世界に生まれたのはニワトリが先か?卵が先か?」。大人は、理屈で考えるからなかなか答えは出ない。だが小学生の子どもは即答。「もちろんニワトリが先だよ」。理由を聞くと「だって、暖めてくれる所がないと卵は育たないもん。人間もそうでしょ」。…………
答える早さと内容に驚いた。生命学的に問う「ニワトリと卵、どっちが先」という正解と、全く違う世界がそこにはある。子どもからの答えに「暖めてくれる所」の言葉が出てくるとは思ってもいなかった。
人間は生きていく上で、本能的に暖かい所を求める。それは、暖かい部屋などの物質的な目で見える暖かさでなく、自分が自分の足で立てる場所。比べられることなく、裸のままの自分で立ち、迷って、悩みながらも歩んでいける。そこに寄り添い喜んでくれる 温かいものを感じられる。そんな所を、この幼い我が子はもう知っていると感じたら、母親である自分の役割はほぼ終わったとさえ思えた出来事だった。
島津 和嘉子(新潟県・長養寺)