2019年02月13日

Category 対談

お寺を地域のつながりの場に。

真宗会館では仏教に関する講座を主催する以外に、さまざまな交流を目的とした多様な「場」の提供を行っています。
カルチャー教室などの文化交流の他、地域の子どもとの心の交流の場でもあります。
今回ご紹介する「ねりまこども食堂」と「宿題寺子屋 ねりまなぶ」も、そんな心の交流の「場」として真宗会館を活用されています。
真宗会館を選んだ理由、そこで生まれる「場」がどんな意味を持つのかについて伺ってみました。

  相島幸恵さん
二児の母。「宿題寺子屋ねりまなぶ」運営の他、企業にて保育園・学童向けの英語カリキュラム作成と講師の育成、また保育ダンスプログラムの開発に携わる。
     
  金子よしえさん
話し方教室や古典芸能の出前などを通して、正しい日本語と美しい日本の伝統文化を伝える会社の代表を務めつつ、2014年より「ねりまこども食堂」を運営に携わる。

 

 

地域に寄り添いたい主催者とお寺の願いが一致。

現代社会が抱える子どもの問題に取り組んでおられる「宿題寺子屋 ねりまなぶ」と「ねりまこども食堂」の各主催者の相島さん、金子さんにお話を伺いたいと思います。まずは、相島さんの「宿題寺子屋」は、どんな経緯で始まったのですか?

相島 きっかけになったのは、私自身が、自分の子どもの宿題をちゃんと見てあげられないことでした。気になって、知り合いの先生に「宿題を出す意味」を聞いたところ、宿題を通して子どもの学習状況を親が確認できるということでした。親もちゃんと宿題を見なければいけないと実感し、「私と同じように働くお母さんのお手伝いをできたら」と思ったんです。また、同じタイミングで「音読」には脳を活性化させる効果があると聞き、音読を有効に使って親も子も楽しんで宿題ができればいいという思いもありました。

「宿題寺子屋」の場所に真宗会館を使うきっかけになったのは?

相島 私は最初は別の団体の活動に協力していまして、そこで夏休みなどの長期休暇のときの子どもの食事や行動が心配な「働いているお母さんのためのイベント企画」が立ち上がりました。そしてそのオリエンテーションの場所を探していたときに、ホームページでこちらを見つけました。「ああ、こういうところが使えるんだ」と知り、「宿題寺子屋」を始めるときにすぐにご相談しました。昔と違い、子どもたちはお寺や神社に触れる機会が少ないですが、お寺を知るきっかけになればいいなという思いもありました。

金子さんが「ねりまこども食堂」を始められた経緯、真宗会館を使うきっかけなどを教えてください。

金子 真宗会館は母の葬儀を行った関係で、何度か伺わせていただいていて、真宗会館の食堂の存在もなんとなく頭の隅に残っていました。4年前にNHKの番組で「さまざまな理由でごはんを食べられない子がいる」ことや、「子ども食堂」の存在を知り、総合的な支援は難しいけれど、ごはんを作ることならできると思ったのです。そして「ねりまこども食堂」を立ち上げることにしたのですが、場所を考えたときに真宗会館の食堂を思い出し、「夜空いていませんか? 」とご相談しました。

相島 そのとき、真宗会館の方は、「子ども食堂」の存在をご存じだったんですか?

金子 いいえ。最初にお話したときは「子ども食堂って何ですか?」という反応でしたが、趣旨をお話すると、「私たちも近所の子たちが出入りしてくれると嬉しいです」と賛同してくださいました。

人との距離を近づけるお寺という場の魅力。

実際に真宗会館を使ってみていかがですか。

相島 私自身はとてもいい場だと思っていますが、生徒が小学3年生の男の子5人ですから、うるさくないかなとかの心配はありました。

金子 以前、仏壇(お内仏)が開けてあったときに、「閉めた方がいいですよね」と話したところ、「開けておいてください。これが仏壇だと分かった方がいい」と真宗会館の方がおっしゃったので、それからはボランティアが一人見張りつつ、開けた状態にしています。「これなあに?」って聞く子もいます。何かを感じて興味を持つのはいいことです。そのうち手を合わせることを覚えてもらえたらもっといいと思っています。

相島 寺子屋をはじめたときに、真宗会館の方に、「ここ(お寺)はどんなところか」を話していただいたのですが、その時に約束したのが「仏壇に手を合わせて挨拶をする」ことでした。親御さんたちも「知ることができてよかった」や、「大切にしなくてはいけない事も学べて良い経験になった」と言っていただいています。

金子 話の視点は違いますが、実際に使わせていただいて「畳っていいな」と改めて思っています。

相島 いいですよね。

金子 最初の1年はイスとテーブルのお部屋でした。人数が増えてきて仏間を貸していただけることになったのですが、そうしたら知らない子ども、お母さん同士がしだいに仲良く、親密になってきたことも驚きでした。

相島 確かに。移動もしやすいですしね。

金子 狭くても、畳ならくっついて座れますし。子どもたちもよその小さな子をそばに座らせて食べさせてあげたり。最初はこぼして畳を汚したらどうしようと遠慮していたのですが、今では本当によかったと思っています。

人との関わりの中で学べる場でもある。

真宗会館に来るようになって子どもたちは何か変わりましたか?

相島 まだまだできているとは言えませんが、ここに来たら挨拶をする、静かにしなければいけないと、心のどこかでは思っているようです。それはとてもいいことですよね。

金子 今の子どもたちは大抵のことが許されるオープンな場所しか知りません。ここは、ルールやマナーがある点が違います。私もルールやマナーをきちんと教えるよう心がけています。例えば食事はバイキング形式ですが、「取ったものは残さない」「他の人のことも考えて取る」など食事のルールの他、「必ず手を洗う」「オモチャは自分で片付ける」「食事の準備を手伝う」なども厳しく言っています。

それでも、来たい場所なんですね。

金子 はい。現在、会員は100人程度、毎回50人前後で食事をしているのですが、15か所の小学校から集まっているため、お互いに知らない子ばかりなんですね。そんなみんながどうやって心地よく過ごせるかを学べるいい機会だと思います。また、ここで会うだけだけど、同じような境遇のお母さんや子どもたちがお互いに話をできるようになっていく触れ合いの場であり、安心できる一つの居場所になっているのではないでしょうか。

相島 主催する私たちにとっても、学びの場になっています。私自身、よその子への対応の仕方などを学べたと思っています。

どちらも重要なのは人。

「ねりまこども食堂」と「宿題寺子屋 ねりまなぶ」の両方に来ている子どもたちはいますか?

金子 今はいないですね。「こども食堂」には学習の遅れている子どもも多いので、食事の時間の前にボランティアの高校生や大学生が勉強を見てあげていることがあります。「宿題寺子屋」さんに勉強を見てもらえたらと思う部分もありますが、その場合、お金をどうするかという面が難しいですね。

相島 うちは生徒さんから会費をもらっているので、「こども食堂」に来ているお子さんは無料でというのは難しいです。あとは、スタッフは私を含め2人ですので、これ以上人数が増えると手薄になるという懸念もあります。

お金と人手は大きな課題ですね。ちなみに「こども食堂」では大学生や高校生のボランティアはどのように募集したのですか?

金子 特に募集はしていませんがホームページを見て連絡をくれます。卒論のテーマとして見学や取材を希望する大学生にはボランティアを条件に来てもらっています。高校生の中には通信制高校の生徒もいて、学校の先生からのボランティア体験と食事をさせたいという要望で始めました。子どもたちとすぐに仲良くなり勉強を見たり遊んだりしてくれます。

「宿題寺子屋 ねりまなぶ」はスタッフをどのように募集したのですか?

相島 まずは知り合いに声をかけました。私もスタッフが喜んで関われる場所にしたいので、「こども食堂」さんのそうしたことも参考にできたらと思います。

金子 あとは、この「場」を必要とする子どもや家庭の掘り起こしのために、情報交換もしていきたいですね。

できることを生かして地域をより良くしたい方、ぜひ、お寺という場を活用してください。

最後に、お寺の活用方法についてのアドバイスをお願いします。

相島 お寺は、地域の悩み事を一緒に解決してくれる心強い存在です。自分のできることで地域をよりよくしたいと思う方は、相談してみるといいと思います。

金子 物理的な面で言えば、やはり無料や少ない料金で貸していただけるのはとてもありがたいです。また、荷物なども場所によっては置かせていただけるなどメリットは多いと思います。活用の幅は多いと思いますよ。

金子さん、相島さん、本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

 

 

宿題寺子屋 ねりまなぶ
宿題寺子屋ねりまなぶでは「自ら学ぶ」ことに着目し、自主学習の方法を知ることができるように学習します。そのために「わからないときの調べ方を学ぶ」「音読で楽しく『ロジカルシンキング(論理的思考)』を育む」「目標を決め、宿題に取り組む」「間違いに自分で気づく」の4つの目標を掲げ、自主学習の素地づくりに取り組んでいます。

毎週月曜日開催 | 15:00~17:00
対象:小学1~3年生
http://nerimanabu.hint-r.org/
※ボランティアスタッフ募集中

 

ねりまこども食堂
さまざまな困難を抱え、きちんとした食事を取れない子どもたちのための食堂です。子どもたちにバランスのよい食事を提供し、同時に「みんなで食べる楽しさを知ってもらう」ために活動しています。地域の子どもを地域で見守り、希薄になった地域コミュニティーを暖かいつながりに変えていきたいという願いもあります。

月2回 月曜日 | 18:00~20:00
http://nerima-kodomo.net/index.html

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