2016年06月15日
Category 法話
法話「あなたにとって彼岸とは―六道輪廻を生きる。」
三橋 尚伸氏(真宗大谷派僧侶・産業カウンセラー)
皆さんはお彼岸をどんなイメージをもって迎えられているでしょうか。
多くの日本の方は、お墓参りに行き手を合わせる日だと思われているのではないでしょうか。あるいは、少し仏教の勉強をされると、お釈迦様が教えてくださった苦しみが一切ない「覚りの世界」だということを思い浮かべるか方がいらっしゃるかと思います。
今日は浄土の教えでは彼岸に生きるってどういうことなのだろうということを考えていきたいと思います。
お釈迦様は「苦しみの世界から解脱して、苦しみが一切ない静かな寂静の世界に行きなさい。」と教えてくださっています。そのために正しく見る、正しい生き方をするという方法をも示してくださっています。けれども凡夫である私たちには到底できない内容ばかりです。そもそも、この世の中のすべてが「苦」であることを、私たちは分かっているでしょうか。体が動いて、物を食べる気力もあって、普通に呼吸ができて、お金もまあまああれば、この世が苦であることすらわからないんですよ。「この世は楽だ」とさえ思ってしまう。けれども、お釈迦様はそうではないと言っているのです。
チベットには六道輪廻図というものが伝わっています。六つの有り様「六道」が説かれています。釜茹でされたりする様子が描かれる「地獄」。物が食べられず飢えている「餓鬼」。動物の世界「畜生道」。ケンカばかりして争う「修羅」。そして「人間界」と「天」。この六つを「生まれては死に」を繰り返している私たちに、お釈迦様…