2022年08月03日
Category サンガコラム
「えっ、コンピューターって、そんなに電気をくうの」と知ったのは、テレビの「暗号資産(仮想通貨)」の解説番組だった。例えばビットコインだが、マイニングと呼ばれる発行作業にはコンピューターによる猛烈な計算が必要で、電気をむさぼるらしい。消費電力がノルウェーの国全体に匹敵すると聞いてびっくりした。
実はこれを見たのは2年ほど前だったが、今年になって新聞記事にまた驚いた。デジタル社会の要となるデータセンター。インターネットでやりとりする膨大なデータを管理する施設だそうで、サーバー(コンピューター)や冷却装置、非常用電源などが備えられているという。
記事には「データセンターの世界の電力消費の合計はすでに日本全体の5分の1。机上の単純計算だが、今の節電技術のままだと電力消費はデータ量の急増に比例して2030年には15倍、50年には2500倍に膨れあがる」とあった。典拠は科学技術振興機構の低炭素社会戦略センターの将来予測だ。
「30年の15倍」では計算すると3兆kwhになるが、これは現在の日本全体の3倍にあたる。「50年までに電力消費を1000分の1に減らす革新的な技術開発が不可欠」と指摘していた。 データセンターが集まっているという千葉県印西市。思い立って北総鉄道で千葉ニュータウン中央駅へ行った。貸自転車で5分もこぐと、街路樹の向こうにそれらしいものが。7、8階建てが多く、オフィスビルと違って窓はほとんどない。なるほど、これは「データの倉庫」なのだ。道を隔てれば、戸建て住宅が連なりニュータウンの雰囲気を醸す。
行政やビジネスなど多分野でIT(情報技術)化が進むほどデータ量が増えるのは自明。繁華街の照明と違って、コンピューターの電力は実感しにくい。なのでIT産業は「軽薄短小」のイメージだったが、「倉庫群」を見て、これは「重厚長大」だ、と妙に納得がいった。
井上 憲司(元社会部記者)