命をかけて手に入れたもの|サンガコラム「世界分断の手当て」 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2023年02月16日

Category サンガコラム

命をかけて手に入れたもの

世界分断の手当て vol.2

紛争が続いていたスーダン・南コルドファン州。
独裁政権が倒れ一部で停戦が実現。
分断されていた家族が8年ぶりに再会した瞬間に立ち会った。

 

 「多くの犠牲を払ってでも、なぜ民主主義を求めたのか?」。私はその理由を直接尋ねたくて、アフリカ・スーダンへ飛んだ。 2019年春、この国では約30年続いたバシール独裁政権が倒れた。富は政権に近い一部に集中し、市民はパンを買うことさえ困難になっていた。怒りは沸点に達し人々は路上に出て声を上げた。治安部隊により大勢が殺された。数百に及ぶ遺体がナイル川に投げ込まれ遺棄された。それでも「非暴力で立ち向かう」と一本のナイフさえ持ち込むことなく権力に対抗した。軍は「我々が守るべきは権力者ではない」と態度をあらため、一転して大統領を拘束した。

 なぜ民主主義を求めたのか? 革命に参加した若者たちからは意外な答えが返ってきた。「責任を手に入れたかったからだ」。自由ではなく、責任。「我々はこの国を自分たちで造る責任さえ負えなかった」。責任とは何か。英語ではresponsibilityと書く。response+ability、つまり「応答する力」でもある。私たちは互いに応答しあえる社会をつくっているだろうか。市民からの問いは、今も私の胸の深くに刺さっている。

 

 

堀 潤(ジャーナリスト・キャスター)

1977年、兵庫県生まれ。2001年にNHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター「Biz スポ」キャスター等、報道番組を担当。2012年、市民ニュースサイト「8bit News」を立ち上げ、2013年4月1日付でNHKを退局。現在は、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」のMCをはじめ、AbemaTV「AbemaPrime」、読売テレビ「ウェークアップ」などに出演し、国内外の取材や執筆など多岐に渡り活動中。2020年、自身で監督、出演、制作を行った映画「わたしは分断を許さない」を公開。

最新記事
関連記事

記事一覧を見る

カテゴリ一覧
タグ一覧
  • twitter
  • Facebook
  • Line
  • はてなブックマーク
  • Pocket