2021年06月10日
Category サンガコラム
ウチの2歳になる娘は、顔立ちが男の子っぽいこともあり、スカートやフリルのいわゆる女の子らしい服を着せていないと「ボクちゃん」と言われる。母親としては、そう言われることに違和感があり、娘にいつも女の子らしい服を着せている。
先日、大学で新1年生の出欠を取っている時のこと。明らかに男子名の学生を呼ぶと、金髪のボブにメイクをし、スカートをはいた女子にしか見えない学生が手を挙げた。瞬間、私は動揺した。今の時代、男子もメイクをするし、女子も髪を刈り上げたりする。そんなに特異なことでもないのに。ジェンダーの問題は、この数年で社会に広く認知され、私自身も偏見を持たずに向き合っているつもりだったのに。
しばらくしてから、その男子学生と仲良くなって、「キミはLGBTやQIAで言うとQなの?」と、聞いてみた。「はぁ?」、彼は驚いた顔で私を見た。彼は心も体も男性で、メイクやスカートはファッション、女装家でもないらしい。「てか、このスカート、可愛くないっすか?」。確かに可愛いし彼に似合っている。私は恥ずかしくなった。私の中に性差別の意識がまだまだあって、多様性の本質をなにも理解していなかった。彼は自分らしさをファッションで表現していただけ。以来、私のもやもやとした男らしさ、女らしさが吹っ切れた。今のところ、ウチの娘は男の子のような女の子で、それが娘らしさだ。娘自身が自分らしさを表現できるようになる時まで、私は母親の特権で「ボクちゃん」も楽しませてもらうことにした。
堀江 彩木(東京都渋谷区・諦聴寺)