2019年10月16日
Category インタビュー
エッセイスト・作家
荻上 チキさん
小学2年生のとき兵庫県から埼玉県に引っ越してきた。引っ越しの直後、上級生から体育館裏に呼び出され、「おい、関西弁をしゃべってみろ」とからかわれた。長いいじめの始まりだった。NPO「ストップいじめ!ナビ」の代表理事。親や世間の規範という「呪い」から若者たちを解き放ちたい、と思う。
毎日のように学校でいじめにあった小学、中学時代。それでも死なずに義務教育を終えられたのは、この世界にゲームがあったからだという。家に帰って、ゲームをつけてコントローラーを握れば、あとは自由の世界だ。
いじめの多くは、相手を集団から排除することを目的としていないんですね。排除したらそこでいじめのゲームは終わる。だから相手を集団の最下層で飼い馴らすことを楽しむんです。相手を支配下に置き、笑いの対象にすることで、嗜虐的な快楽を得る。相手が少しでも支配から逃れるようなそぶりを見せたら、それに応じた制裁を加える。
ぼくは、ゲームとか映画とか漫画とか小説とか、一人で黙々とできる作業のほうが楽しかったし、安全でした。家に帰ればゲームがある。学校はぼくの人生にとってはサブの場所。メインの場所は、家に帰ってコントローラーを握ってから始まる。ゲームのすべてが、当時のぼくにとって教養となり、ゲームの話をすることで人間関係が広がりました。
やっぱり荷物の降ろし方を知らないということが結構あったりするんですね。子どもの頃から、親にこれ持て、あれ持てと言われたりとか、周りから、お前のものだよと言われたりとか、そういうふうにされた荷物って、やっぱり捨てることができないと思うんです。
でも、うしろを向いたら、何も載っていなかったりだとか、実は空っぽだったりとか。人と一緒に中身を確認していって、…