ぼくはぼくでいたい!|タレント・コラムニスト 小原ブラスさん 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館

2023年09月01日

Category インタビュー

ぼくはぼくでいたい!

タレント・コラムニスト 小原ブラスさん

日本で生活し、日本の教育を受け、夏休みには祖父母のいるロシアに帰って過ごした。経済的に成長しつくした日本と、崩壊した経済を立て直そうとするロシアのギャップを目にしながら育った。ロシア人でも日本人でもなく、小原ブラスになりたい、と思う。

 

 おかげで100%日本人でもなく、100%ロシア人でもない。もちろんハーフでもない、おまけにゲイ。いたるところがグレーな人間になり、それが小原ブラスのアイデンティティーとなる。

 ピロシキっていうのは、ロシアではパンの中に具材が入っていたらピロシキなんです。ロシアの見方をするならば、アンパンはあんこの具材が入ったピロシキ、ジャムパンはジャムの具材が入ったピロシキなんです。中に具材が入っているというのが大事で、本場のピロシキはそれこそリンゴが入っていたりすることもあるし、キャベツやジャガイモが入っていたりすることもあるんです。

 それとぼくは一緒だと思っているんです。見た目はこんな姿をしているから、外国人という印象を持たれるかもしれないけれども、一回食べてみて味わってもらいたいなというので、YouTubeチャンネルに「ピロシキーズ」という名を付けたんです。「ロシア人だから」ではなく、「中身まできちんと見て」「中身のほうが大事なんだよ」というコンセプトで活動しています。

 

 

 日本に住んでいる外国人の児童生徒は12万4000人(2019年文部科学省調べ)、日本語学習が必要な小中学生は4万人、2万人の外国人児童が学校に通っていないそうだ。小原さんは「一般社団法人 外国人の子供たちの就学を支援する会」の理事長である。

 外国人の子どもたちが日本に来て、日本になじめなくなったりして、それで学校に行けなくなる。勉強をしていないから進学もできず、就職も困難になる。仕事がない、稼げない、お金もないとなると、犯罪率も上がり、ギャング化して、現地の日本人と対立する。ヨーロッパであったような移民問題が、日本にも起きてくるんじゃないかと心配しているんです。外国人の子どもたちを支援するというのは、これまで自分を支えてくれた日本人のみんなへの恩返しでもあるし、実はぼくのためでもあるんですね。外国人が嫌われる社会になったらぼくが嫌じゃないですか。

 同性愛者は生産性がないと言っている人がいますが、ぼくは生産性は絶対あると思うんです。子どもを育てるって、実際に産んだ人に一番重い負担がかかると思うけれども、その子どもを育てているときに、ご飯を食べさせるとなったら、お米を作っている農家さんがいて、またその畑を耕す機械を売っているメーカーさんがいて、そのメーカーさんの株を買っている人がいる。

 そうすると、どんどん連鎖はするし、そのメーカーの株主でただの資産家に見えるような人でも、税金を納めているわけですから、子育てにどこかで関わっている。自分たちが社会の中でご飯を食べていることが、巡り巡って子どもを育てることに繋がっている。同性愛者に生産性がないというのは、社会を構成する人間であるかぎりありえない。やはり社会とどこかで繋がっていて、自分にも関係があるという自覚は持ちたいと思います。

 

 

 

 

 

<Profile>

小原ブラス( こばら・ぶらす)

 1992年、ロシア連邦ハバロフスク市出身。両親離婚後、6歳から日本で育つ。母が再婚し、日本での永住許可を取得した。国籍はロシアのまま。関西弁を話すめんどくさいロシア人として、『ポップUP!』『5時に夢中!』TV番組で活躍中。「一般社団法人 外国人の子供たちの就学を支援する会」理事長。著書に『めんどくさいロシア人から日本人へ』。

めんどくさいロシア人から日本人へ』定価:1,540円(税込)(扶桑社)

写真・児玉成一

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