2021年04月09日

Category インタビュー

ユマとめいの冒険

女優・佳山 明さん

演技未経験で『37セカンズ』のオーディションに挑戦した。主人公ユマが生まれたとき、息をしていなかった時間の長さがこの映画のタイトルになっている。身体に障害を抱えた女性の自己発見と成長を描いた映画である。

HIKARI監督が「健常者の俳優が障害者役を演じる作品を作っても意味がない」と、身体に障害がある女性たちを一般公募した。約100人の中から佳山さんは主演に抜擢された。佳山さん自身も出生時に無呼吸 であったことが原因で脳性まひになった。

【ユマは漫画家の友人のゴーストライターをしている。自分を強く主張できない彼女は、いつか自分の名前で漫画を発表したいと考えている。過干渉な母親との二人暮らしで、過保護になってしまう母親との生活に息苦しさを感じていた。友人の影で生きなければならないことと、母親からの自立。その二つを克服したいユマは、アダルトコミックの募集の広告を見つけ、思い切って応募したものの、性的体験のない彼女には、リアルな性描写ができない。
 主人公におしゃれやメイクをする楽しみを教えることでユマの心を解放させ、背中をそっと押すセックスワーカーの女性や、その女性の常連客である陽気な車椅子の男性らと出会うことで新しい世界を知っていく】

 

 撮影では初めてのことばかりでしたが、みなさん丁寧に教えてくださり、すごく温かく関わってくださいました。
 私自身は、地域福祉に関わる仕事に携わっていますが、ユマは才能豊かな漫画家という人物で、物語の中でユマは、すごくパワフルに行動していきます。彼女の選択や行動は、私だったら選ばないだろうな、ということも多くありましたが、とても力強くて、すごいなと思っていました。私はヘルパーさんにも来ていただきながら、一人暮らしをしていて、その点もユマとは違いますね。あと、私は絵が苦手です。

 

 

【物語の後半、ユマは自分に双子の姉がいたことを知らされる。海外で生活する姉に会いに行くことを決意し、介護者の俊哉に助けられて海外に飛び立つ。姉との対面を果たしたその夜、ユマは俊哉に、37秒間呼吸が止まったのが姉ではなく「私でよかった」と話す】

 

 「私でよかった」という言葉は、いろいろな意味で大きなものだと思います。いわゆる障害があるとかないとかに関わらず、それぞれに生きて経験を重ねていくし、それぞれの人生を歩んでいくことになります。私にも双子の姉がいるんですけど、障害のあるかないかということで、自分と姉と比べたということは、今まで振り返ってもあまりなかったですね。そういうことを思うと、あの台詞には、「私は私でよかった」という、そういう含みのある言葉だったような気がしています。
 障害があろうとなかろうと、やはりみんな同じ人間で、でも一人ひとり違っているという、そんなことを今あらためて思っています。

 

<Profile>

かやま・めい 

1994年、大阪府出身。日本福祉大学卒業後、社会福祉士の資格を取得。『3 7セカンズ』のオーディションに挑み、一般公募による応募者の中から抜擢された。同作で2021年、第75回毎日映画コンクールでスポニチグランプリ新人賞、第30回日本映画批評家大賞で新人女優賞を受賞。

 

『37セカンズ』

第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門「観客賞」・「国際アートシアター連盟(CI CAE)賞」受賞全国にて公開中の他、WOWOW、Netflixでも放送配信中

写真・児玉成一

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